19.2.07

梅と赤痢

雨が晴れた日曜の午後は図書館に行きたくなる。いや、雨が振っていようと、木曜だろうと図書館に行きたくなる気持ちは変わらないし、家に買って未読の本がごろごろしてんのに、そういう誘惑の場に足を運びたくなるのは、ほとんど病気だといってよい。

ちょうど梅の季節なのだった。桜より梅派のあたくしとしましては、こういう時期は、家々の庭先の梅を見てそぞろありく。こんな目的があって眺めると、東京の家々の庭先には意外と梅の木があることがわかる。こうやって、家々を覗き込みながら散歩するのは、ほぼ不審者。観梅で通報されれば、そりゃ本望ぢゃて。

帰ってきて、図書館から借りてきた「赤痢」のCDを聴く。地元の図書館にこういう貴重な資料が置いてあるのは心強い。なにしろ、このアルバムの一曲目は「夢見るオマンコ」だぜ。税金の納めがいがあるってもんだ。パンクならではのシンプルさが、実にいい曲。

高校時代に、「あぶらだこ」やら「D-DAY」とか「原爆オナニーズ」、そして「赤痢」をやたらに薦める友人がいた。自分もクラシックっていうか、ヘンな現代曲ばかり聴いていたので、お互いにマイナー好みとして共通する何かがあったのだろう。ただ、当時のわたしはロックも歌謡曲もからきし聴いてなかったので、こういうものがポピュラー音楽の本道だと思っていたものだった。そういうものはお茶の水のジャニスのインディーズ・コーナーに固めて置いてある代物、ということに気づいたのは、かなり後になってからである。

「赤痢」を聴いていたら、妙に懐かしくうれしい気分になり、今でもこういうCDを買えるのかなと思って、アマゾンで検索してみたら、二枚組のベスト盤が現役で出ている。ラッキーと思ってカートに放り込もうとしたら、レビューにとんでもないことが書かれている。

「放送禁止用語にノイズが被せられ、消されている」だと。また言葉狩りかよ。レコード会社が自主規制したがる、くだらなさについては理解しといてあげよう(オマエラに何を期待するもんか)。でも、よくこんなむごい処置にも関らずアーティストのほうが発売許可したもんだな。そう思うと、急速にさみしい気分になったのであった。