3.10.09

千葉駅付近の賑わい

華々しくも千葉県人になってしまって、すでに四ヶ月目に突入だ。
先月のある日、打ち合わせにかこつけて、県の中心街といわれているらしい千葉駅付近を初めて散策してみた。同じ県内でも辺鄙なところに住む自分にとって、千葉駅付近は間違いなく、大都会。お上り気分ではしゃいでやるぜ、へへい、と思っていたのだ。

店はそこそこある。本屋。電気屋。CD屋。でも、品揃えはやはり……。ただ、家電を買うなら秋葉原、本を物色するには神保町に食後の散歩気分で繰り出していた四ヶ月前を思うと、その落差は小さくない。

腹が減ったので、ラーメン屋に入る。「こってり」を看板にしたいささか汚らしい店(こういうところがソソるのだ)。食べてみると、異常なまでに塩辛い。「味が濃い方は薄めます」と掲示してあるので、すかさずスープをつぎ足してもらう。しかし、周囲を見渡すと、誰もそんなことをしている者はいない。みんな平気な顔して食べている。塩辛さが文化にもなっている東北出身のわたしでさえ濃いと思うのに、恐るべし千葉。

客は男女のカップルばかり。そういえば、街をぶらついても、その手合がやたらに多い。平日の夕方なのだが、なぜ千葉駅前はカップル天国なのだろう、と思案してみたのだが、一つ思い当たるのが、「一人で来てもあまり面白いものがない」ということだ。地方都市とはこういうところなのかもしれないが。

チェーン店は揃っている。さまざまな飲食店、カラオケ・ボックス、靴や服を売る店などなど。しかし、こんな当たり前のところに一人で行っても何も楽しくはないのだ。このような店には、おそらく誰かと連れ合っていかなければ間がもたない、ということなのだろう。件の塩辛いラーメンだって、誰かと一緒ならば、ネタぐらいにはなる、ということかもしれない。

つまり、ここには都市のワンダーランドである古書店も、怪しげな映像を堪能できる単館映画館もなく、爬虫類専門ショップも、異常なまでにマニアックな自転車屋もない。当たり前だけど、クラシック専門中古LP屋もない。こういった個人の好奇心を満たす場所がちゃんと存在している東京って、かなり偉いトコロなのだと改めて感心した次第だ(だからこそ、20年以上もぬくぬくと生活できたわけである)。

あたくしなんぞは、どこにいても一人で結構楽しめちゃう奴なんで、あまり問題ないのだが、そうでない人は、かなりストレスを溜めることになる。いや、地方都市は最初からそのように設計されているのだろう。一人で楽しめる奴なんて、世間から浮いた変な考えを持ちたがるし、子供も作らんし、あまり生産的じゃないからな。この日、駅前で個人情報を交換しているカップルを二組見かける。出会い系だって流行るわけか? ふむう。