昼間、死ぬように眠くなる。時差ボケなのである。
海外にちょこっと行って帰ってきたのは十日ほど前なのだが、いまだ治らぬ。
数年前までは、時差ボケという意味さえわからなかった。生活時間不規則、寝たり起きたり超フレキシブル、というのが当たり前だったので、年がら年中ボケっぱなし、時差ボケならぬボケボケで通してきたのだ。
ところが、昨年、久々に欧州便で帰ってきたとき、どうも昼間眠くて、夜(といっても、朝に近かったりするのだが)寝つきが悪いことに気がついた。これが、例の時差ボケなのか、と興奮した覚えがある。人間、何か発見すると、ちょっとは嬉しいものだ。
そのときの旅行中、指揮者のアーノンクールとのインタビューで時差ボケについて彼の見解を聞いてしまったのがいけなかったのかもしれない(彼は時差ボケが酷くて、日本にはしばらく来れなかったのだ)。あのとき、彼の時差ボケが伝染ったのかも。俺の時差ボケはアーノンクール仕込みなんだぞぅ、とアホなファンタジーにはまってみたり。
冷静に考えれば、我も老いたり、ということなのだろうと、鼻毛に白いものが交じったとき以来の感慨にふける。まあ、以前よりは生活パターンも決まってきたようにも思えるし。
まだぐるぐる眠いのだけど、今回は人生二度目の時差ボケ、新鮮な気持ちで楽しもうと、意味もなく前向き。