26.1.06

ともかく神話には逆らうなっていう教訓

ライブドア騒動も一段落着いたかなと思ってテレビを付けたら、いまだ同じような報道ばかり。ホリエモンはいまだに重要なコンテンツらしい。せいぜい長生きしてくれよ。
ま、この騒動、5年後には忘れているような、よくある話である。
簡単な構図にしてみれば、これだけにすぎない。
宗教的な人間(組織)が、神話的な人間(組織)に葬られた。

宗教的とは、「教義」をもとに行動することである。「教義」という、これまでになく、突飛で、挑発的なものを「これが大事なんだぜ」と持ってこれるから、行動はそれ以外のものに縛られない自由さがある。
一方、神話的とは、「現状」をもとに組み立てられた物語に沿って、行動することだ。「神話」は、自分たちの民族や国家がどのように誕生したか、その正当性を証明するために都合よく作られた物語。こういう幻想を信じておれば、とりあえず破綻はない。

ホリエモンの教義は「なんでも金で買えちゃうもん」というあからさまな拝金主義と、アングロ・サクソン譲りの合理主義だった。これが、日本経済を支えている「神話」と噛み合わなかったというわけで。そんで、一度潰そうと思えば、法律など解釈次第。

宗教的な人間は、ともかく勢いがあるから、一定の人気を集めやすい。伝統などに反発する者からの支持もある。しかし、宗教的人間は、神話的人間によって占められた伝統勢力によって、必ずや潰される。これが日本の歴史といっていい。
平将門、織田信長、天草四郎、皇道派、学生運動……。

これが、毎回のように繰り返されるだけである。まったく退屈きわまりねえ。

まあ、ホリエモンが逮捕されたのは、彼が裏の世界に中途半端にしか繋がっていなかったからのような気もするわな。もっと悪人に徹して立ち回っておれば、検察も手を出せなかっただろうに。目立ちたがる人間は、そういうところに疎い。

この事件について、フランスのリベラシオンが面白いことを書いていると、日刊スポーツが報道している。
日本の大企業経営者や政治家は、ヤクザの不正行為には目をつぶることがあっても、堀江氏の米国風で無礼な日和見主義は拒絶した

(原文)Si la plupart des grands patrons et politiciens nippons ferment en partie les yeux sur les agissements illégaux de la mafia nippone (les yakuza), caste ancestrale à la tête, dit-on, d'environ 30 000 entreprises légales au Japon, ils refusent l'opportunisme insolent, «à l'américaine», de Horie.

ううっ、こんな真っ当なこと、日本のメディアは絶対に言えないよな……。財界や政界にはヤクザがねっとりと絡んでるなんて、こたあ。
このリベラシオンのホリエモン紹介はなかなか細かい。彼のニックネームが「ドラえもん」から来ているなどなど。