16.1.06

条件


この画像は、変人ピアニスト大井浩明氏がある朝突然送ってきたものである。
「のだめカンタービレ」という売れ線マンガ一コマらしいが、わたしはこの作品はまだ読んだことがない。だから、このコマのコンテクストがどうなっているのか、サッパリわからぬのだが、おそらく「オマエも山形出身だから、こういう気持ちになることあるんやろ?」というメッセージなのだろう。いや、遠く故国を離れている大井氏自身の心情がそこに密やかに仮託されているのやもしれぬ。

ともあれ、モノゴトに嫌気が指したときはどこかに逃げ落ちたいという気持ちはわたしにもある。こういう場合、「奥多摩に籠もりたい」などと真っ先に考えてしまう。無意識のうちに、交通費やらを計算してしまっておるのかもしれぬが。

山形に帰りたいと思うときももちろんある。
モンテディオ山形の大事なホームゲームが控えているときとか、親戚親兄弟が亡くなったときとか、財産分与するからとりあえず顔を見せろと言われたとか、「会いたくなったから、すぐ来て」と初恋のあの娘に言われたとか、「今回☆ラッキー☆なことに、あなただけを特別にご招待します。もちろん完全無料!!」なんてメールが来たときとか……。
要するに、あまりそういう機会は多くはない、ということである。

ほかに強いて挙げれば、東京で思わず蕎麦屋に入ってしまい、何とも味気ない蕎麦を食っているときである。なんだい、この白々としたソウメンみたいな代物はよ。しかも、ここいらの原住民は「蕎麦というものはな、タレにちょっとだけ付けて食うんだよ」なんて説教こくから、たまったもんじゃないずら。こんな貧しい食文化を目の当たりにすると、だしぬけに山形に帰りたくなることがあるものである。

そもそも、このセリフ「もうイヤ! 山形へ帰りたい!!」じゃ、オレ様的にゃ切迫感がまるで出てないんだな。ここはこうあるべきではなかろうか。
「もうやんだは! 山形さ帰りだいず!!」
うん、こっつの方がずぅぇっとリアルだよ、おっかさん。