17.1.10

雪岱展へ

昨日は 「小村雪岱とその時代」展へ。前回何の用で行ったのか思い出せない、懐かしい埼玉近代美術館。習作から装丁、挿絵はもちろんのこと、歌舞伎の舞台装置原画まで網羅、俺のような雪岱好き好き野郎にとってはたまらぬ展示だ。

雪岱は、その冷ややかな構成美、スッキリした線が魅力。挿絵などでは、構成上、ほっそりとした直線が強い力を持っているから、曲線が艶めかしくも感じられる。昨年末、横浜美術館で束芋の「でろりん」とした挿絵を堪能した後では、ちょうどいい毒抜きにもなった。わしゃ、毒も薬も同じくらい好きじゃけんのう。

雪岱を知ったのは、吉川英治を読み耽っていた中学生の頃かしらん。この時代(大正〜昭和初期)に活躍した挿絵画家はすごかった。岩田専太郎、小林秀恒、志村立美、山口将吉郎などなど。そのなかでも、小村雪岱のモダンさは強烈に印象に残った(志村立美の奇ッ怪なほどの色っぽさもインパクトあったけれど)。

舞台装置原画を観ると、歌舞伎にとって、雪岱はワーグナー演出におけるヴィーラント・ワーグナー的な役割を果たしたといえるのかもしれない。しかし、彼の静謐なデザインと歌舞伎がどのように相容れたのだろうか、この分野に疎いわたしはちょっと想像が付かぬ。