31.12.07

我が愛しの「スプレもん」

昨日ネットのニュースを見ていたら、「年賀状がもう届いた」みたいな記事があった。おお、民営化したので、速めの配達を心掛けるようになったのか、こりゃ感心なことでござるなあと思ってはみたものの、件の記事を読んでみれば、単なる従業員のミスとのことであった。そりゃそうか。でも、元旦前に年賀状が届くのは、相手にインパクトを与える意味では決して悪くない、と思うのだが、いかがだろう。なにしろ、年を越せば、「あけましておめでとう」云々はゲップが出るほど目や耳にするわけで、この言葉がインフレ気味になる前に使っておくのは、なかなか良いアイディアなのではなかろうか。先んずれば人を制す。そういうわけで、わたしも昨日初詣を済ましてきたばかりだ(これは嘘)。

わたしの場合、年賀状を書くという風習を断ち切って10年近く経つ。郵政が国営だったときは、年賀状なんて体の良い税金みたいなもんだと思っていたから、節税に励まなければならない貧しいわたしには到底容認できる風習ではなかった。とはいえ、民営化された今年も、やはり年賀状を書く動機は見つからぬ。用があるときにのみ、連絡を取ればいいと思う怠惰な性分なので。

なにしろ、12月は忙しいのである。まず年末進行というのがある。これは致し方ない。あとは、J2の入れ替え戦とか、クラブ・ワールドカップ(トヨタ・カップ)などというものもある。そして、なによりも忙しさに輪をかけるのが、高専ロボコンの放映が12月にまとめて行われることに尽きよう。まず、深夜放送で地区予選を二週間近くかけて見る。アイディア倒れ、あるいは一歩も動かぬロボットの悲哀をとくと堪能できるのは地区予選だけの愉しみなのである。気になるロボットはメモっておいて、これが国技館でどう活躍するのかドキドキしながら、全国大会の放送日を待つ。年によっては、飲み会が続いて地区予選を全部見るのは不可能なときもあるのだが(単行本一冊を12月の三週間で書き下ろした年は、何も見られなかった)。

今年の全国大会は、強豪の宅間電波高専(サッカーでいうとブラジルみたいな安定感がある)を決勝で破った和歌山高専に胸が熱くなった。さらに、昨日の深夜には、高専ロボコン20周年ということでこれまでの名勝負を振り返る特別番組まで放送された。あまりにもの懐かしさ。

この番組では、わたしをロボコンという競技に熱中させるキッカケともなった大分高専の「スプレもん」も紹介された。この年、1991年の競技は「ホットタワー」。二つのスポットの上に、赤チームは赤い箱、青チームは青い箱を積み上げる。より多くの箱を積み上げたロボットが勝ちだが、相手の色の箱の上に、自分の色の箱を置けばそのスポットを獲得できるというルールもあった。それぞれ、速度や箱を積み上げる性能を競ったわけだが、この「スプレもん」は、相手が積み上げた箱の上を覆って、スプレーを噴射、箱の色を塗り替えて、相手の箱を自分のものにしてしまうという荒行をやってのけたのである。当時、初めてこれを見たとき、「こんなのもアリなのか」と少なからぬショックを受けたものだった。さらに、ああ、人生だって色々なやり方があるのだなあ、と若い自分は深い感動を覚えたものだった。

「スプレもん」が登場する動画(WMP)。始まって1分50秒ぐらいに「スプレもん」が出てくる。残念ながら、このロボットは、地区予選で敗退した。

mms://vodt.kbs.co.kr/vod/robocon/nhk04.asf