ヤホーイと階段を最上段まで駆け上がったその瞬間、いきなり足をツる。その場で動けなくなる俺。スコアが目に入る。「湘南0—1山形」。ウホホ、先取点入れてやがる。彫像のように硬直したままで、安堵。
平塚競技場には、悲しい思い出しかない。グダグダな試合をやった上、勝ち点をベルマーレ様に献上。こんなことばかり。今回も家を出る前、したたかに迷った。家にこもってテレビ中継でも見たほうが良いのかと。しかし、なんという快晴。平塚までエッサッサと自転車漕いで、暮れたスタジアムでビール飲みながら、好調モンテディオ山形の得点をウホーイと満喫できれば、これぞスペシャルな連休気分。走れ。自分のなにかが命令した。
ちょうど横浜のZAIMでは「アジアの新★現代美術!!」をやっているので、休憩がてら立ち寄る。もっとチマチマした空間かと思ったら、ここ結構広いんね。空間の贅沢さがたたってか、作品によってはそれ自体がチマチマして見えるのが傷。
最上階での「脳波VS母乳」と題されたトークショーが終わりかけたところに遭遇。「脳波と母乳を飛ばし合って、締めにしましょう」ということになり、「脳波は飛ばせませんよ」と逃げ腰の脳波派中ザワヒデキ目がけ、母乳派の増山麗奈が至近距離から母乳を発射。ド・シュールな光景。ナマ母乳を頭から浴びた中ザワさん、ハンカチを取り出し、眼鏡をせっせと拭きながら、たたずむ様子がかなりキュート。
横浜で時間を食ってしまった。慌ててチャリに飛び乗って、平塚まで向かう。キックオフまであと二時間を切っている。ちょっとギリギリだったが、戸塚駅の踏み切りの長さで、時間に間に合わない可能性が濃厚になる。横浜新道に合流してからは、夕暮れの富士山の方角を目指して飛ばしまくったが、茅ケ崎ですでに試合開始の19時。
よろよろとスタジアムに駆け込んだときは、前半30分を過ぎていた。ツった足を引きずりながら、ようやく席に滑り込む。ハーフタイムには、昼から何も食ってないあたくしの五臓六腑を満たすために売店に赴くが、食い物はほぼ売りきれ。ビールとスナック菓子を買う。こいつがディナー。やはり、平塚はむごすぎますわ。
ところが、後半はモンテディオ山形のゴール・ラッシュ。ボールが面白いくらいに左右に散らされ、エグいクロスがベルマーレのゴール前にポンポン上がる。たまんねえ。あれよあれよと点数が加わり、0—4の勝利。久しぶりだよ、おっかさん。こんな一方的な試合見ちゃうのはよぉ。
小躍り気分でスタジアムを出る。気がついたら、ここはどこ?状態。帰りは鎌倉あたりまで自転車で勝手にウィニング・ランして、そこから電車で東京まで帰ろうかと考えていたのだった。さすがに来た道をチャリチャリ戻ったのでは、テレビのバルセロナ戦生中継に間に合わぬ。
目の前に「厚木まで10キロ」という標識。これならば小田急線に乗れると、さっさか裏道に入って厚木を目指す。無事、急行が動いている時間帯に本厚木駅に到着。夜間、土地勘まるでないところで、平気で裏道に入ってしまえる自分の裏道&旧道感覚を自画自賛。新宿から再び走って、無事にその日のうちに帰宅。デザートはビアー。